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リーダーと語る

起業家・実業家・地方政治家
田中 エリナ 氏

何も諦めず、犠牲にせず女性が存分に輝ける社会

 

田中エリナ氏プロフィール
愛媛県松山市出身。
1984年生まれ。松山東高等学校卒業、津田塾大学卒業。女性雇用や企業ブランディング事業の起業、英語スクール経営など多方面で活躍し、2016年には四国発のご当地プロレス団体「愛媛プロレス」も旗揚げ。
松山銀天街商店街振興組合の理事も務める。

太陽のような笑顔でエネルギッシュに活躍する田中エリナさん。
静かに物事を熟慮し真摯に向き合うひたむきさと、相手を思いやる心を忘れないたおやかな女性です。
2022年4月に松山市議会議員選挙でトップ当選を果たし、ますます躍進するエリナさんの原点とも言える場所で、じっくりお話を伺いました。

  • 青野

    学生時代は世界中を旅されたそうですね。
  • 田中

    旅行が大好きで、40カ国を回りました。
    一番好きなのはイタリアで、特にフィレンツェは住みたい街です。
  • 青野

    僕も訪れて、大好きになった街です。
    海外留学は考えなかったのですか?
  • 田中

    考えませんでした。
    祖父、父と二代続いた商店の地を私が継ぎたかったので、卒業後は迷わず松山に帰ってきました。
    ここ銀天街商店街は祖父が食堂を始めた場所で、父が雑貨屋さんを営み、私も小さい頃から手伝っていましたが、小学生の頃インターネットが台頭して、多くの小売店が立ち行かなくなってきたんです。
    うちも大変でしたが、私の気持ちは揺らぎませんでした。
    ところが祖父は「女の子は結婚して出ていくから継がせられない」と兄に継がせたがったので、家業を手伝いつつ、求人誌で就職先を探しました。
  • 青野

    それがブライダル情報誌の会社ですね。
  • 田中

    松山で会社勤めをしながら店も手伝って、4年経った頃に転勤を言い渡され、店を続けたかったので会社の方を辞めました。
    さあどうしようと思っていたところ、同じ会社の四国出身の女の子たちも地元で働きたがっていて、それなら地方で女性が自立できるようにと一緒に起業したのが、株式会社ミシェルです。27歳の時でした。
  • 青野

    どんな事業を行う会社ですか?
  • 田中

    企業ブランディングや商品ブランド開発、広告PRなどです。
    ブライダルの仕事の経験が生きました。ブライダルは核となるブランディングが重要で、データを見て、今はこの演出が主流だからこうしようとか、このマーケットが良さそうだ、これを言葉にしよう、キービジュアルを作ろうなどと動かしていくノウハウが役立ちました。
  • 青野

    会社は今も継続しているのですか?
  • 田中

    はい。私は顧問という立場ですが、ブランディングのお仕事は大好きです。
    女性が活躍する会社です。
  • 青野

    すべての人が働きやすい環境作りには、課題が多いですね。子供を産んで育てやすい社会とは、まだいえません。
    夜間に子供を預けられなくて仕事に制限が生じたり、高齢のご家族を見ないといけないケースもあったりします。
    仕事を諦めなくていいように、僕らも業界内で仕組み作りを検討していますが、なかなか難しいです。
  • 田中

    素晴らしい取り組みですね。育児や家事は、どうしても女性に負荷が偏りがちです。
    仕事への影響を取り除きたいです。松山市では保育士不足が深刻で、育成の検討を進めています。
  • 青野

    私たちが運営する子供のためのスポーツクラブも、そうした社会貢献の一つです。
    ITなどの技術も駆使して、家族環境を崩さず仕事と両立できる方法を探したいです。
時代の変化をキャッチし新しい街の賑わいを創出する
  • 青野

    松山市議会議員も務めながら、事業経営や商店街振興組合の理事、そして愛媛プロレスの運営など、多方面で大活躍ですね。
    愛媛プロレスは年間どれくらいの興行数ですか?
  • 田中

    250公演を超えています。
    自主興行は少ないのですが、企業の宴会や路上プロレスなど、皆様が興行を買ってくださいます。
    路上プロレスでは、そこにいる方にロープを持ってもらって人間コーナーポストでリングを作るんですよ。
    協賛スポンサーの企業様など皆様に支えていただいています。
    今治では、バリィさんも選手としてリングに上がりましたよ。
  • 青野

    エリナさんも戦うのですか?
  • 田中

    私ではなく、キューティエリー・ザ・エヒメという双子の妹が、ディーバ(セコンド)として選手の応援につきます。
    戦いはしませんが、巻き込まれちゃうことはあります。
    でも愛媛プロレスは、お母さんがお子さんに見せたいプロレスというコンセプトなので安全です。
    流血もありませんよ。
  • 青野

    愛媛を代表するエンタメとして大いに盛り上がってほしいですね。
    今治や松山がもっと県外から魅力を感じていただき、観光や集客を伸ばすにはどんな方法があるでしょう。
  • 田中

    たとえば広島まで来ているお客様を四国に迎え入れるなら、やっぱり玄関口は今治です。
    近年今治は勢いがありますから、魅力的なプロジェクトも期待できます。
  • 青野

    しかし今治の商店街は、ちょっと元気がありません。
  • 田中

    商店街の場合、一番の問題は、政治が時代の変化に追いつけていないことだろうと、私は思っています。
    商店街は元来対面物販の集積場でしたが、インターネットの売買が日常化した今、対面だけでは厳しくなりました。
    それならば、商店街の次の機能を、政治が先回りして作るべきだと思うんです。
  • 青野

    なるほど、例えばどういうものでしょう?
  • 田中

    松山も、飲食店が主流になったエリア、塾やスクール、カフェが増えたエリアなどがある一方で、対面物販は減っています。
    でも、こういう時代の変化で、こういう人の流れがあるなら、このエリアにはこういうものが望まれるだろうと、先回りのエリアマネジメントをするべきでした。
    今治や松山に限らず、全国的にも人口流出は避けられませんので、内需の拡大か外需の獲得しかありません。
    商店街は今、近くの人への対面物販の集積場という視点から脱却して、もっと広範囲で外需の獲得を考えるフェーズなのかもしれません。
  • 青野

    そうすると、このまま商店街全体が賑わいを取り戻すことは難しいでしょうか?
  • 田中

    いいえ、多くの商店街は街の中心部にありますから、人の賑わいはあるはずです。
    けれども、そこにお店が連ならなければ商店街になりません。
    人の賑わいが最低限担保されるなら、これからの時代、どんなお店ならそこで商売が成り立つかを考えればいい。
    成功している例では、学生マンションをたくさん作り、学生が好きなお店を並べたチャレンジショップの商店街とか、ご高齢者のために、病院と老人ホームがある生活圏の商店街というのもあります。
    誰に向けたどんな商店街が有効かを考えるのです。
  • 青野

    ターゲットを絞り、割り切って考えるのですね。確かに一つの方法です。勉強になります。
自分のルーツを愛し、誇り 変化を恐れず次の一歩を
  • 青野

    青野 今後はどんな活動を目指されますか?
  • 田中

    3年前に歩み始めた政治の世界には、若い力が圧倒的に少なく、特に女性が増えません。
    自分が身を置いてみて、やはりすごく厳しい職業だと思うこともあります。
    誹謗中傷も受けました。ですから私は、インターネット誹謗中傷条例を手掛けようとしています。
    何か少しずつでも変えて、なり手を増やしたいのです。
  • 青野

    ご自身の政治家としてのスタイルを、どう表現されますか?
  • 田中

    「革新保守」という立ち位置だろうと思っています。
    国や家族、自分が属するコミュニティに対する感謝や愛、誇りがあるから、恩返しをしたいと心から思えます。
    それは強みでもあります。松山を強くする、今治を強くする、ひいてはワンチームで愛媛を強くする、国を強くする。
    そう考えたとき、枠組みなんていらないという考え方ももちろん素晴らしいのですが、私は、自分の場所を愛して動きたいんです。
    それは、この商店街でずっと生きてきたからこそ身についた感覚だと思います。
  • 青野

    お話を伺っていると、常に周囲を気遣い、相手のことをとてもよく考えていらっしゃるなと思います。
  • 田中

    私の方こそ、今日この機会をいただけて感謝しています。
    いつか対談をと、以前何気なくした約束をきちんと守ってくださって、感激しました。小さな約束の積み重ねが大きな信頼を集めるので、お手本となるお姿を見せていただきました。
  • 青野

    約束を守ることくらいしかできませんから(笑)。
  • 田中

    大切なことです。
    革新保守と言いましたが、変わらず守り続ける姿勢は日本の素晴らしさでもありますし、安定して治安が良い国であることは、誇れることです。
    でもインターネットなど変化への対応は遅かったのかもしれません。
    だとすると、伝統や文化を愛しながらも、時代に応じたイノベーションを恐れないことが、これから求められます。
    そういう意味で「革新保守」が私のスタイルです。
  • 青野

    とても共感します。
    冠婚葬祭業をずっと続けている当社も同じで、守るべきことは守らないと、根っこの部分が崩れてしまいます。
    それを忘れず、ここまでは守り、ここからは柔軟にと線を引くことが重要です。
    気を抜いて線引きがいい加減にならないように、きちんと抑えることが自分の役割だと心しています。
  • 田中

    冠婚葬祭って、一番文化に根付きますもんね。
  • 青野

    コロナ禍で人が集まれなくなった時期もありましたが、やっぱり結婚や葬儀など、みんなで集まって心を寄せ合いたいと思う気持ちは誰しも持っています。
    ですから、またみんな一緒に過ごせるように、文化を継承するために栄養を蓄える期間があっていいと考えています。
  • 田中

    ステキなお考えですね。
    ぜひまた色々お聞かせください。
  • 青野

    こちらこそ。
    今後もご活躍を応援しています。