リーダーと語る
社会医療法人 生きる会 瀬戸内海病院
小堀 陽一郎 氏
止まらない安心のために 地域一丸で守る、たゆまぬ医療

小堀 陽一郎氏プロフィール
2010年に瀬戸内海病院の院長に就任。
消化器科のスペシャリストとして日々多くの患者と向き合い、今治市医師会の理事としても、救急や災害危機管理を担当し、地域医療の充実に長年貢献している。
瀬戸内海病院は、約半世紀にわたり地域の健康を支え続けている、なくてはならない医療の拠り所です。院長の小堀先生はいつも穏やかな笑顔をたたえ、お会いすると心身ともに癒されるような優しいお人柄ながら、より良い医療環境の実現のためには困難も厭わず、陰になり日向になり力を尽くす強く頼もしいリーダーです。
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今年2月に新病院が完成し、晴れて移転オープンされました。温かみのある優しい雰囲気の建物ですね。
青野
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どちらかというと「病院らしくない」病院を目指しました。気負いなく来られる落ち着いた外観で、中に入るとパッと明るく、動線の良さも重視したので患者さんに分かりやすく、スタッフも働きやすい環境になったと思います。
小堀
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空間設計にはどのような工夫がありますか?
青野
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できるだけまっすぐ開ける視界を確保しました。受付から待合の方へ視線を向ければ、奥までスーッと一目で見通せます。患者さんがどこにいても目が届き、何かあればすぐわかるようになっています。
小堀
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なるほど、患者さんもスタッフも安心ですね。一階の玄関前も、広い通路が建物を貫きとても開放的です。
青野
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玄関も工夫したコンセプトの一つです。駅からのアクセスを重視し、建物を駅から最短の場所に配置し、道路の突き当たりを壁ではなく、海側の駐車場へ抜けるプロムナードとしました。その中に玄関を設け、入るとすぐ左右に入口が分かれ、右は総合受付のある診療スペース、左は健診専用のスペースです。健診は健康な方のご利用が多いので、体調が悪い方と入口が別ならより足を運びやすいのではと思います。
小堀
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機材や設備もさらに充実されたようですね。
青野
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最新の機器を多数導入し、化学療法室などを増設しました。多くの疾患、さまざまな事態への対応力を高め、緊急性が高いケースもすぐ対応できる体制を強化しています。
小堀
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緊急といえば、先生は今治市医師会の理事としても長年救急医療の充実に尽力されています。近年の状況はいかがですか?
青野
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今治市の救急体制は厳しい状態が続いています。10年前まで10施設が担当していた救急輪番病院が、現在(令和8年4月)は7施設に減り、各病院の当番回数が増え、スタッフが身を粉にして乗り切っているのが現状です。
小堀
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改善策はあるのでしょうか。
青野
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365日この今治で救急患者をどこも診られないという日が一日も無いように、地域全体で協力してなんとか体制を維持しようとしています。また、救急車を使わずご自身で救急外来に来られるウォークインの患者さんの診察を、クリニックなども含む全医療機関にお願いして協力を募っており、その体制整備も進めています。
小堀
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医療に従事する皆さんに守られて私たちの暮らしがあります。本当に心強くありがたいです。
青野
究極のホスピタリティ 誰の心にも灯をともす笑顔の力
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こちらのスタッフの皆さんはいつも笑顔で親しみやすく、心がなごみます。先生から皆さんに共有されている思いなどはありますか?
青野
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私が常々話すのは、とにかく患者さんあっての病院なので、患者さんに優しくしてほしいということです。思いがけない言動を向けられることもあるかもしれませんが、それでもやはり、私たちの仕事は病院というサービス業です。患者さんが第一です。しかもその多くは、体調を崩し、不安を抱える方々なんです。
小堀
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サービス業と明言されるのは、すばらしいですね。病院でそう意識されているところは、あまりないのではないでしょうか。
青野
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高齢の方は特に、わずかでも当たりを強く感じると、とても辛くなり来院をためらうようになることもあります。ですから、ゆっくり笑顔で優しく接すること、少しでも不安を和らげ、来て良かったと思って帰っていただくこと、それを忘れないよう徹底しています。
小堀
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全員によく浸透していることが、皆さんの表情からわかります。笑顔は大事ですね。
青野
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そうですね。どんな患者さんも、こちらが笑顔で接すれば表情が明るくなります。たとえ言葉が通じない方でもわかります。ある講演で聞いたのですが、認知症のお年寄りにとって普通の顔は怖い顔で、笑うとやっと普通の顔に見えるのだそうです。それ以来、私も常に笑顔を心がけるようになりました。実際に笑顔で回診して、患者さんも笑顔になるのを見て納得しました。私も意識しなければ怖い顔なのでは?
小堀
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先生の怖い顔なんて見たことありませんよ(笑)。
青野
早期発見、早期治療がカギ 検査でつなぐ健やかな日々
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今後はどのようなことに注力されますか?
青野
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まずは以前から変わらないことですが、それぞれに苦痛を抱えて来院された患者さんに対して、とにかく早く、不安や痛みをやわらげてあげることです。できるだけその日のうちに検査をして、診断をつけ、可能な治療はすぐ行い、必要なら専門機関を紹介し、患者さんにある程度満足して帰っていただく。そういうプライマリケアの精神を、今後も実践し続けます。それからもう一つ、もっと積極的に、皆さんに内視鏡検査をおすすめしたいです。大腸がんが増えています。胃がんや大腸がんは、早期発見、早期治療ができれば治ります。むやみに恐れる必要はありません。そのためにも、内視鏡検査はとても有効です。
小堀
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大腸がんでは便潜血検査もありますが、内視鏡検査が良いでしょうか?
青野
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まず便潜血検査を行うのもよいでしょう。陽性なら大腸カメラという順で検査を進めることで、効率よく見つけられます。また胃がんの場合は、ピロリ菌に感染したことがある胃に発生するケースがほとんどなので、過去にピロリ菌を治療した人には除菌後も必ず年に一度の胃カメラをおすすめしています。内視鏡検査は痛い怖いと思われがちですが、直径5.8㎜の細径カメラや鎮静薬(静脈麻酔)を用い、苦痛なく受けられる技術も進んでいますので、どうか安心して受診してください。
小堀
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他にも受けておくと良い検査はありますか?
青野
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大腸がんとともに増えているのが膵(すい)臓がんですね。自覚症状がほとんど無いので、不調を意識した時には治療が難しくなっていることが多い病気です。CTかエコー(超音波)で1センチ以内のがんを見つけて、手術で取り切ってしまいたいので、それにはやはり毎年の検査が理想的です。
小堀
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どこも痛くないのに検査をお願いするのは、病院にご迷惑なのではとも思ってしまいます。
青野
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いえいえ、ぜひ健康診断やドックを定期的に受診してください。何より症状が出る前に見つけたいですし、もちろん症状があるなら遠慮せず来てください。何かの機会にいろんな検査をすることが重要です。人間ドックのコースやオプションもたくさん種類がありますので、ご自身に合うものをご相談ください。
小堀
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二年に一回では少ないでしょうか?
青野
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できれば毎年ですね。さまざまなケースがあるので必ずとは言えませんが、私の経験では、一年に一回検査をしていれば色々ながんも早期に見つかることが多いように思います。
小堀
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すい臓がんなど、症状もなく見つけるのも難しいとなると、やはり検査が大事ですね。
青野
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私たちは、とにかく早く見つけて治療につなげてあげたいと、切に願っています。どなたにも、命を落とすようなことになってもらいたくありません。少しでも早く見つけられるように、たくさんの専門家が研究に励んでいます。私たちはその結果や新しいデータも踏まえ、病気に気づくことができる目を持たなければなりません。そうした目で検査をお勧めして、必ず病気を見つけようと懸命に取り組んでいます。
小堀
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真摯な姿勢に頭が下がります。医療に携わるすべての方に心から感謝して、私たちも自分の健康を守ることにもっと真剣に向き合っていきたいと思います。
青野