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  青野

  しまなみの杜リゾートの話が持ち上がり、大野さんに出会ってから6年以上が経ちました。最初の計画は諸事情で断念しましたが、時期を待って再始動し、遂に完成を迎えます。
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  大野

  最初は複数組のお客様を同時にお迎えできる建物を計画したんですよね。それを一組だけにするという、とても大きな決断をされました。
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  青野

  自分が本当に望む結婚式ができる場所を作ることが、私の長年の夢でした。自分の色が出せて、深く心に刻まれるものをと考え、出した答えが「自然」でした。そしてこの場所に巡り合ったのです。町から近く、豊かな自然があり、非日常に浸れる。人工物である施設にいながら、自然を強く感じられる。そこにお客様を一組だけお迎えすれば、どの場所にいても最高の風景にできると考えたのです。
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  大野

  建物だけでなく周りにも力を入れました。中に入るより外に出て驚いてほしくて、すべてが外でつながるようにし、全空間に自然を演出しました。みんなが好きな場所で好きなように過ごす、ゆったりとしたオリジナルのパーティができるのも、お客様はひとときに一組だけと決めたからです。これを建築で表現させてもらえたことに感謝しています。

変化も楽しみながら 自然と共存する建築

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  大野

  月日が経つうちに現地は驚くほど変化しました。茶色い山肌が緑に包まれたのです。この自然に応えるためにも、人工物ではあるけれど素敵な自然を作ろうと決めました。水を張るのはプールではなく水盤。壁はコンクリートではなく本物の石積み。そういった自然な人工物にこだわりました。
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  青野

  中を青く塗りがちな水盤も、大野さんは違いましたね。
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  大野

  ナチュラルを貫きたかったんです。自然のままの色で、汚れてもそれが自然。水の動きや音も取り入れます。借景にした周辺の山林も庭の緑も、これからもっと変化するでしょう。
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  青野

  植物は「木が見える」植え方をしました。それぞれの木が存在感を放ち、どの場所からも立体感のある自然を楽しめます。

どんな天候、 季節、時刻も それぞれに美しい

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  大野

  雨の日もいいですよ。屋根から雨水が落ちる様子は独特の美しさですし、水盤に滴る水音もいい。ナイトウエディングもおすすめですね。
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  青野

  そうですね。夜は色の変化が素晴らしい。夕日から徐々に闇になり、明かりが灯り、水盤に色を映す。暖炉が燃えるテラスラウンジで星を見ながら飲むお酒は最高ですよ。
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  大野

  少し低い位置に座る席もあります。目線の高さに水盤、見上げれば満天の星。素敵ですよね。
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  青野

  どんな日、どんな時刻でも、忘れられない記念日になりますね。ぜひ何度も来ていただきたいです。

建築に見る遊び心は 緻密な設計あればこそ

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  青野

  お客様はきっと、来るたびに違う場所のように感じられるでしょう。例えばバンケットは全体を舞台に見立て、何通りにもアレンジできる仕掛けをしています。どんな舞台でどんな時間を過ごすかはお客様次第。決まりは一切ありません。他にも驚く仕掛けをたくさん大野さんに考えていただきました。
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  大野

  広場にまっすぐ伸びる長いアプローチは80mもあり、突き当たりのドアが実は鏡。さらに倍の距離に見える仕掛けです。面白いでしょ。それからセレモニーホールは、正面に向かって同じ比率でだんだん狭まっていて、遠近感が強まるので短い距離でぐんと距離感を出せます。
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  青野

  千本くらい入るワインセラーも作ってもらいました。私を含め５人のソムリエがいますから、ワインも心ゆくまで楽しんでもらいたくて。
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  大野

  これが土に埋まっていて外からほとんど見えないんです。変に建物の中に作るより、いっそ外で土を被せちゃおうと。ワインにとって、年中湿度と温度を一定に保つには土の中が一番ですからね。見た目にも機能的にも自然なワインセラーです。
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  青野

  楽しい仕掛けは語り尽くせませんね。
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  大野

  楽しいけれど、産みの苦しみもありますよ。簡単に思いつくわけじゃない（笑）。でも苦労しても、驚いてくれると楽しい。本当に楽しいですね。
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  青野

  オープン後も新しいアイデアを考えています。第二期へと、まだまだ楽しみは続きそうです。