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リーダーと語る

株式会社 大三島みんなのワイナリー Part 1

目指すワインに近づくために大三島で踏み出した一歩

しまなみ海道の大三島にある「株式会社 大三島みんなのワイナリー」は、島内で栽培したブドウを使ってワインを醸造し、販売を行なっています。大三島に魅せられ「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」を開館した建築家・伊東豊雄氏が代表を務め、大三島の活性化を進める島づくりプロジェクトの一環として始まりました。
 
川田佑輔氏は、会社の前身である「大三島でワインを作る会」に2015年の発足当初から参加。以来ブドウの栽培と会社の運営を担い活動を続けている中心人物です。
 
今回訪れた「大三島みんなの家」は、大山祇神社の参道に残された旧法務局の建物を、伊東豊雄氏が主宰する「伊東建築塾」が地域住民と一緒にリノベーションをし、みんなが集う場所として蘇らせた場所です。昼は地元産の野菜などを利用したランチやカフェメニューが楽しめ、夜にはワインと料理で大人時間を味わう「大三島みんなのワインバル」に変身。二階が「みんなのワイナリー」の事務所です。
  • 青野

    今回は「大三島みんなのワイナリー」の若きリーダー、川田佑輔さんにお話を伺います。弊社には日本ソムリエ協会認定のソムリエが3名在籍し、私もその一人。ワイン造りに情熱を注ぐ川田さんにお会いできるのを楽しみにしていました。2015年に県外から大三島へ移住されてワイン造りを始められたそうですが、約4年が経ってみていかがですか?
  • 川田

    ゼロからのスタートだったので最初は苦労しました。2015年の春に初めてブドウを植えて、初年に実ったブドウは全部イノシシに食べられてしまいました。失敗と改善を繰り返し、3年目の2017年、スズメバチの被害で量は多くありませんでしたが初収穫。2018年の秋には2トン近くを収穫し、2019年1月に約1800本のワインを完成させられるまでになりました。
  • 青野

    大三島の畑には、どのような品種のブドウの木を植えているのですか?
  • 川田

    主にはシャルドネとマスカット・ベーリーA、他にはメルローと、今年はヴィオニエも植えました。試験品種も30種ほど植えて、色々と試している最中です。
    (編集部注:シャルドネは白ワイン用のブドウ品種。白ブドウの代表選手ともいえる。マスカット・ベーリーAは赤ワイン用で、日本産の黒ブドウ品種。メルローは赤ワイン用、ヴィオニエは白ワイン用の品種)
  • 青野

    まだまだ始まったばかりで試行錯誤されている段階だと思いますが、最終目標とするのはどのようなタイプのワインですか?
  • 川田

    フランスを目指したくはないと思っています。日本らしさを打ち出したものにしたいです。日本のワインは、悪く言えば水っぽくて軽いと言われますが、裏を返せばとても飲みやすくて、毎日飲んでも飽きないワインです。
    重すぎず軽すぎず、誰が飲んでも美味しいと感じる、そんなワインが目標です。
  • 青野

    なるほど、シャルドネやマスカット・ベーリーAなど、日本人にとっても一般的で親しみもある品種のブドウを植えられている理由が納得できます。そしてその中に個性を出すために、さらにさまざまな品種の中からこの地に合ったものを探しているのですね。大三島の気温や土壌はブドウ造りに適しているのですか?
  • 川田

    日本の中で比べると、長野県や山梨県のほうが環境は良いのかもしれません。しかし瀬戸内は雨が少なく乾いた気候で、土も真砂土で水はけがよいという特長があります。成長過程で水分を与え実を大きくする生食用のブドウとは異なり、ワイン醸造用のブドウは多量の水を好みません。大三島はワイン用のブドウにぴったりの土地です。おかげでワインに適したブドウが育ち、アロマが立ったワインができています。

大三島みんなの家

愛媛県今治市大三島町宮浦5562
0897-72-9308
カフェ:11時~16時(ランチはなくなり次第終了)
ワインバル:18時~22時
休月曜日 席 20席 P 3台